ご存知のように気象学の世界では、雨がどれくらい降ったかということを表すには、雨量を「ミリ」という単位を用いて表しています。
「ミリ」というのは、水深を表す「ミリメートル」のことです。「ミリ」で表される雨量というのは、降った雨がその地点から別の場所などに流れず、蒸発もせず、地面などにしみ込まない状態で雨水がどれくらいの深さまで溜まっているかということです。
たとえば、一日で50ミリの雨量というのは、一日で雨が水深5cmまで溜まるということを表しています。たったの5cmという感じですが、道路や屋根などのいろいろな場所に5cm溜まっているわけですから、この雨水が川などに一気に流れこむとどうなるかは想像に難くないことでしょう。
雨量を測定する方法は、円柱形の容器(たらいなど)を外に置き、そこに雨水を受けます。そしてその水深をミリメートル単位で測ると、それが雨量になります。原始的ですが確実な方法ですね。
気象予報をする際や天候に関する実況などをする時に、気温や降水量などを「低い(少ない)」「平年並」「高い(多い)」の3階級で言い表すことがありますね。
これは、10年ごとに更新される30年間の観測値を下から順に、一番下から10番目までを「低い(少ない)」、11番目から20番目を「平年並」、それ以上を「高い(多い)」としています。
また、それぞれが全体の33%で各階級の出現率が等しくなるように決めたものでもあります。
現在使われている区分値は、1971年から2000年までの30年間の資料をもとに作成した値です。
区分値は、夏と冬でも異なりますし、地域によっても変わります。これら階級をもとに言い表す表現が、「冷夏」や「暖冬」です。
冷夏とは、夏の平均気温が3階級の表現で「低い」場合を言い、暖冬とは、冬の平均気温が「高い」場合をいいます。よって、暑夏と寒冬はこの反対になりますね。
気象衛星で現在の雲の状態を観測し、現在の天気を伝えることはできますが、気象衛星では将来の大気がどのような状態になるかまでを予想することはできないのです。
天気を予想するためには、この将来の大気の状態を予想しなければなりませんね。
では、どうするかというと、まず現在の大気の状態を知るために、世界中で一斉に行われているレーウィンゾンデ観測のデータなどを使って現在の様子を求めます。
そして、その結果地球を取り巻いている大気の状態が分かれば、データをもとに数値シュミレーション技術を使ってスーパーコンピューターで計算して数分後の大気の状態を予想します。
それを繰り返して、その数分後、そのまた数分後、と計算していくことによって、明日の天気、明後日の天気、一週間後の天気の予想ができるというわけです。
気象予報をする時に用いられる数値予報は、予報当初は1~2日先までの移動性温帯低気圧の発達の予報でした。
その後、予報期間が延長され、1週間から1ヶ月、数値予報に基づいて予報が行われています。
このように予報期間が延長されてきたことから、将来的には数値予報を適用して、もっと長期の予報や気候予報にも期待できることになるでしょう。
また、数値予報を用いて中規模現象を予測することも今後発展の方向にあります。飛行場などを対象とした場所で、短時間の予測を数値予報により行う可能性もあり、気象以外にも火山灰の拡散や、汚染物質などの現象にも適用されていくことになっています。
数値予報を利用し、観測システムの改良も図られている現在、その観測システムの有効性の評価を行ったりすることなどにも数値予報は使われているようです。